六価クロム対策とコストは両立できる?地盤改良の固化材選定で押さえる3つのポイント
セメント系固化材を使う地盤改良では、土質によって六価クロムの溶出が懸念されるケースがあります。「環境対応はコストが上がるのでは」と感じる設計者の方も多いのではないでしょうか。実は、設計段階の工夫次第で、環境リスクへの備えとコストの抑制は両立できます。
1.なぜ地盤改良で六価クロムが問題になるのか
六価クロムは、セメント系固化材と土が反応する過程で、ごく微量が溶出する可能性のある物質です。セメントが固まる水和反応が、水の不足などにより途中で不完全に終わると、不安定な六価クロムが残りやすいと考えられています。特に火山灰質粘性土(ローム等)では溶出しやすい傾向が知られており、土壌環境基準(0.05mg/L以下)への適合が求められます。公共工事では溶出試験の実施が条件となるケースもあり、近年は現場で混合した改良土からのサンプル試験を求める運用も広がるなど、確認の水準は年々高まっています。
2.エルニード工法が六価クロムを抑えやすい2つの理由
理由① 水を使って固める工法であること
六価クロムは、水が不足して水和反応が中断されると生成されやすいとされています。エルニード工法は現地の土に水を加えて流動化処理する工法のため水和反応が進みやすく、溶出を抑えやすい工法といえます。実際に過去の試験では、水を使わない方式で溶出が確認された土でも、エルニード工法では検出されなかった事例があります。

▲混合状況——現地の土に水を加えながら混合している様子
理由② 精度の高い事前室内配合試験
一般的な配合試験では、2水準の添加量による試験結果をもとに配合を決めることが多いのに対し、エルニード工法では多様な土質の分析データを独自に蓄積し、必要強度から狙いの配合量を導いたうえで試験・実測して決定します。土の分析結果に応じて、六価クロム抑制型を含む固化材の選定までこの段階で判断できるのが特長です。さらに現在は、すべての現場で事前配合試験にあわせて六価クロム溶出試験を実施しています。

圧縮試験機

土質分析

試験練り
▲事前室内配合試験の様子
3.設計段階の備えがコストを抑える
配合試験は図面が固まった段階で行うため、そこで初めて溶出リスクが判明すると、専用固化材の手配など対応の選択肢が限られ、費用や工期に影響が出ることがあります。一方、設計段階でボーリング調査の延長として土質試験・溶出試験まで行っておけば、工法選定の段階からリスクを織り込め、トータルのコストダウンにつながります。
エルニード工法は現地の土を活用する流動化処理土の工法であり、残土の低減とあわせて、環境に配慮した設計をコストを抑えながら実現できます。
まとめ
六価クロムへの備えは、特別なコストをかけることではなく、「設計段階で土質と配合を確認しておくこと」から始まります。

